密室の帝王への挑戦

柄刀一『ジョン・ディクスン・カーの最終定理』(東京創元社、2020年)★★★

 2006年、カーの生誕100周年に出されたアンソロジー『密室と奇蹟』に含まれていた短編を大幅改稿したもの。大学生たちが、カーの書き込みがある『未解決事件への入り口』の難事件を、書き込みを頼りに解くのと並行して、仲間の一人が殺される不可能犯罪に挑む。カーさながらの技巧的なトリックを受け入れられるかでこの作品に対する評価が決まる。事前にいくつかのカーの作品を読んでおくのがオススメ(カーを知らずにこの本を読む人がいるのか?)。印象的にしようとしたラストに少々難あり。

ジョン・ディクスン・カーの最終定理 (創元推理文庫)