青春の血潮

有栖川有栖『月光ゲーム』(東京創元社、1994年)★★★★

火山噴火によりキャンプ場に取り残された大学生たち。下山したくても下山できない状況の中で、連続殺人が起こる。クローズド・サークル、ダイイング・メッセージと本格物のポイントをしっかり押さえつつ、大学生の恋愛要素もからめてある。

登場人物の区別が後半にならないとわかりにくい(序盤で全員が出揃ってしまうことが原因か)のと、殺人の動機が弱い(いや、青春真っ只中の若者には十分すぎる動機なのか)のが気になるが、論理重視の読み応えのある作品であることには間違いない。

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

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