笠井潔『バイバイ、エンジェル』(創元社、1995年)★★
パリで起こる首切断死体、密室の爆発、森の中の死体など、連続事件。警察が攻めあぐねる中、日本人・矢吹駆が現象学の本質直観を用いて、真相に近づく。
…と書くと、典型的な本格物のようだが、いかんせん矢吹の哲学談義が長い。そのような講釈がなくても、推理だけで真相は明らかになるように感じた。
巻末解説に言及されている、同著者の『テロルの現象学』を読めば、本作の評価は変わるかもしれないのだが、あくまで『バイバイ、エンジェル』のオススメ度としては、低くならざるを得ない。