洞窟の真実。

篠たまき『氷室の華』(朝日新聞出版、2021年)★★★

夏休みに、氷室守をしていた父方の祖父の元に訪れた「ユウ坊」。彼は指の間の水かきに異常なほどの関心を抱き、その後の物語の進行も基本的に水かきが重要な意味を持つ。前半の人間模様の描写から、不穏な雰囲気を醸し出す。特に静花という人物が重要になる。田舎の秘密が明らかになっていく後半は怒涛の展開で読者を圧倒する。

同著者の『人喰観音』も面白かったが、こちらも面白かった。