物語は紫煙の彼方に

小西マサテル『名探偵のままでいて』(宝島社、2023年)★★★★

小学校教師・楓とレビー小体型認知症を患う祖父が物語の中心。楓が難事件や事件でない謎を持ち込み、祖父が自宅にいながら解決するという、安楽椅子モノ。連作なので、短編苦手な自分でも一気に読み切れた。

夜逃げ教師と33人の謎は、ちょっとわざとらしくて引っかかったが。

ところどころに古典ミステリーが紹介されるのが嬉しい。

事件がすべて片付いた後の楓と祖父の会話が、清々しい読了感を与えてくれる。