2023-01-01から1年間の記事一覧

物語は紫煙の彼方に

小西マサテル『名探偵のままでいて』(宝島社、2023年)★★★★ 小学校教師・楓とレビー小体型認知症を患う祖父が物語の中心。楓が難事件や事件でない謎を持ち込み、祖父が自宅にいながら解決するという、安楽椅子モノ。連作なので、短編苦手な自分でも一気に読…

金田一耕助、大いにしゃべる

映像作品『獄門島』(2019年)長谷川博己ほか ★★★★ 元はNHKのBSプレミアムで放送された作品。 どうしても石坂浩二版と比較してしまうが、今作はストーリー自体は原作に忠実。 (「きちがい」など、特に真犯人) この作品の評価が分かれるのは、金田一耕助像…

傑作!傑作!

今村昌弘『兇人邸の殺人』(東京創元社、2021年)★★★★★ 斑目機関の研究に興味を示す会社の社長成島と秘書についていく比留子と葉村。傭兵とともにテーマパーク内にある建物に侵入するが、そこには片腕の怪物が待っていた。どうやら斑目機関の研究と関係して…

大学教授、大活躍

エドマンド・クリスピン『お楽しみの埋葬』(早川書房、1959年)★★★ 英文学専門の大学教授フェンが選挙運動のために地方に降り立つ。女性の毒殺、警官の刺殺、事故にあい入院している患者の殺人未遂と、次々事件が起きる。同時期に精神病院から患者が脱出し…

ハードボイルドはお好きですか?

紀蔚然『台北プライベートアイ』(文藝春秋、2021年)★★ 大学の職を辞した呉誠は、雑然とした街に潜り込み、私立探偵の看板を立てる。最初に来た素行調査の依頼を首尾よく終えたのは束の間、連続殺人事件が起こり、呉は被疑者として逮捕されてしまう。果たし…