2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ハコの中身はなんだろうな

映画『魍魎の匣』(2007年)★★★ 映画『姑獲鳥の夏』とは監督違い、また関口役の俳優も永瀬正敏から椎名桔平に変更。少女バラバラ殺人、元大女優の娘の列車事故、新興宗教の跋扈が1つの巨大な謎を構成し、それに京極堂たちが挑んでいく。『姑獲鳥の夏』と異な…

密室の帝王への挑戦

柄刀一『ジョン・ディクスン・カーの最終定理』(東京創元社、2020年)★★★ 2006年、カーの生誕100周年に出されたアンソロジー『密室と奇蹟』に含まれていた短編を大幅改稿したもの。大学生たちが、カーの書き込みがある『未解決事件への入り口』の難事件を、…

村の消失

京極夏彦『塗仏の宴 宴の支度』(講談社、2003年)★★★★ 初出は1998年。村の消失を中心にしつつ、宗教団体、予言者、旧作の登場人物などが、妖怪の名をつけられた6章の中で目まぐるしく動き回る。各章は妖怪を暗示する内容が展開される。本書での京極堂、榎木…

妊娠20ヶ月の妻と、失踪した夫

映画『姑獲鳥の夏』(2005年)★★★ 京極夏彦のデビュー作の映画化。細部に原作と違いがありながらも、全体的な雰囲気は非常に良い。堤真一演じる京極堂が、早口で難解な内容を話し続けるのも原作のイメージに近い。他の配役も面白い(篠原涼子がチョイ役扱い…

オカルトと論理の交錯

相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社、2019年) ★★★ 霊媒師・城塚翡翠と作家・香月史郎のコンビが難事件に挑戦する物語。翡翠による超自然的問題解決の提示と、香月による合理的に納得できる論理への置換によって、犯人が捕縛される。最終章にどん…