2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

彼女の目に映ったものは

山田風太郎「眼中の悪魔」「虚像淫楽」『眼中の悪魔』(光文社、2001年)★★★ 1949年に日本探偵作家クラブ賞の短篇賞を受賞した2作品。 「眼中の悪魔」は恋人の珠江を趣味仲間の片倉に奪われた橘という人物による、手紙の形式で話が進んでいく。片倉の日記を…

怪しくなさ過ぎて、怪しい

F・W・クロフツ『クロイドン発12時30分』(東京創元社、2019年)★★★★ 倒叙物の傑作。経営不振に陥った会社を救うため、叔父の遺産を狙った殺人を計画するチャールズの側から、その心の動きとともに描く。フレンチ警部が資産家とその執事の殺人事件の謎に迫り…

初心者向けと見せかけて、中級者以上向け

藤原宰太郎・藤原遊子『改訂新版 真夜中のミステリー読本』(論創社、2019年)★★ ミステリー初心者向けの入門書あるいはブックガイドに見えて、実はミステリーファン向けの本。ネタバレ多数。個人的には乱歩の「火縄銃」とポーストの「ズームドルフ事件」の…