2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆめゆめ忘れるな。

小林泰三『アリス殺し』(東京創元社、2019年)★★ 現実における地上の人物が夢(不思議の国)の人物の「アーヴェタール」だとしたら? 不思議の国の殺人事件に伴って、現実の世界の人物も不可思議な死を迎える。 不思議の国の住人・アリスは連続殺人の容疑者…

スペードの意味

鮎川哲也『りら荘事件 増補版』(光文社、2020年)★★★★ 避暑にきた美大生達が、連続殺人に巻き込まれる。しかも、死体のそばには、盗まれたトランプのスペードが数字順に置かれている。警察が容疑者を拘束するも、新たな殺人が起こり、事態はますます混迷す…

さかさまの世界

竹本健治『新装版 匣の中の失楽』(講談社文庫、2015年)★★ 第4の奇書と呼ばれる本作、著者のデビュー作。 特に『虚無への供物』に近い印象だが、衒学的なところは『黒死館殺人事件』的な要素を感じる。現実と架空が混在するのは『ドグラマグラ』の影響か。 …