2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

乱歩も脱帽?

ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(創元社、2011年)★★ ロンドンで帽子が盗まれ、それが思わぬ場所に置かれる事件が繰り返される。サー・ウィリアム・ビットンもまた、帽子を盗まれた一人。しかも彼の帽子が、甥の死体の上で見つかった。サー・ウ…

変化球からの本格

今村昌弘『屍人荘の殺人』(東京創元社、2019年)★★★★ 第27回鮎川哲也賞、ほか受賞。 大学のサークルが夏休みを利用してペンションで合宿するというお約束の始り。さほど優秀な探偵役とは思えない明智とその後輩・葉村(語り手)は、構内で実際の事件に関係…

大鞠家の一族

芦辺拓『大鞠家殺人事件』(東京創元社、2021年)★★ 戦前、化粧品販売などで興隆した大鞠百薬館が、戦争の進展で衰退していく。その中で大鞠家3代に起こる、連続殺人事件。 第2章まで、大鞠家の物語を丁寧に描き、物語に没入しやすくしている。登場人物は丁…