ハードボイルドはお好きですか?

紀蔚然『台北プライベートアイ』(文藝春秋、2021年)★★

大学の職を辞した呉誠は、雑然とした街に潜り込み、私立探偵の看板を立てる。最初に来た素行調査の依頼を首尾よく終えたのは束の間、連続殺人事件が起こり、呉は被疑者として逮捕されてしまう。果たして真犯人の意図はどこにあるのか?

素行調査事件はあまり、その後の連続殺人事件と関係がない(呉のアリバイ証明くらい)。しかも唐突なセックスシーン。

殺人事件も、殺人の本質的要素にならない暗示が出てくる。それを用いなくとも真相究明はできたと思う。

良い翻訳のおかげでスッキリ読めるが、作品の出来としては、評価が難しい。