村の消失

京極夏彦『塗仏の宴 宴の支度』(講談社、2003年)★★★★

 初出は1998年。村の消失を中心にしつつ、宗教団体、予言者、旧作の登場人物などが、妖怪の名をつけられた6章の中で目まぐるしく動き回る。各章は妖怪を暗示する内容が展開される。本書での京極堂、榎木津の活動は控え目で、周辺の人物がよく描写されている。最終章のラストは衝撃的。なんとこの本は物語の前編(文庫版で1000頁近い)で、同じ長さの後編が続くんだぜ…orz。女性の私生活が筒抜けになっている疑いがある部分があるが、これは乱歩『陰獣』を思い出させた(『陰獣』は種明かしがハッキリしないで終わるのだが)。

 

文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 2003/09/12
  • メディア: 文庫