姉は宝石をどこに隠したか

高木彬光『神津恭介、犯罪の蔭に女あり』(光文社、2013年)★★

ド級の名作『刺青殺人事件』の著者・高木彬光の短編集。期待して読んだのだが、短編という性質のせいか、今一つ仕掛けに深みがない。1つ1つは明快な文章で書かれていてサクッと読めるのだが、読後に残るものが何もないというか。例外は「ヴィナスの棺」で、珠玉の作品と言ってよい。