雪の降る日は殺人

綾辻行人『霧越邸殺人事件 上〈完全改訂版〉』(角川書店、2014年)★★★

初出は1990年。著者曰く「プロット、ストーリー、エピソードには変更を加えないものとして、主に文章面での細やかな“最適化”に努め、完成度とリーダビリティの向上を図った」版。

雪深い山で遭難した劇団一行は霧越邸にたどりつき、吹雪がおさまるまで滞在を許される。不愛想な執事や料理人らに違和感を抱き、芸名と奇妙な暗合を見せる邸内の品々に首をかしげる中、北原白秋の「雨」の歌詞を用いた見立て殺人が起きる。

本格作品の舞台設定と幻想的な雰囲気で、下巻への期待は十分。