4人、死ぬ。

今村昌弘『魔眼の匣の殺人』(創元社、2022年)★★★

好見地区の里である真雁にそびえる魔眼の匣。前作で登場の剣崎比留子と葉村譲は班目機関の謎を追うため、同地を訪れる。匣には予言者・サキミがいるという。道中を共にした高校生2名(女学生の十色は起こる出来事を先んじて絵に描く能力を持つ)や元好見の住人、オカルト雑誌の記者などが、橋の焼失で2日はその地から出られなくなる。サキミの予言は「11月最後の2日間に、真雁で男女二人ずつ、4人死ぬ。」

前作に続き、クローズドサークルもの。今回葉村は重要な役目を果たし、探偵比留子をサポートする。前回の『屍人荘の殺人』に比して、緊迫感やトリックの質はやや落ち、動機も分かりにくいが、それは前作がすごいからであって、比べなければかなり面白い作品。

思い過ごしかもしれないが、2作目に「匣」を持ってくるあたり、京極夏彦の2作目『魍魎の匣』をリスペクトしているのか。