そこはかとない恐怖

 

シャーリィ・ジャクソン『ずっとお城に暮らしてる』(東京創元社、2007年)★★

原作は1962年。ホラーのジャンルに入ると思うのだが、殺人があったり怨霊が出てくる類ではない。一人の少女の視点から、日常が変化し、崩壊していく様が描かれているのだが、この語り手、何かが「おかしい」。この「おかしさ」が、この作品のホラーたる所以である。出てくる食べ物がいちいち美味しそう。