魅惑の密室

有栖川有栖『新装版 46番目の密室』(講談社、2009年)★★★★

大学の助教授日村英夫と友人であり推理小説作家の有栖川有栖が活躍するシリーズの第1弾。日本のディクスン・カーと称される真壁聖一に呼ばれた推理作家、編集者たちがクリスマスを過ごす。白い雪が降る夜に、2つの密室殺人が起きる。

人間関係の描写が前半に出てきて、これが後半の伏線になっている。犯罪の動機、トリックともにクラシックで良い。特に、計画通りに物事が進まなくなって余計に犯罪が複雑になる過程が見事。強いて言えば、エピローグにもっと、登場人物に寄り添った記述が欲しかった。

本文も読みやすいし、綾辻行人氏の解説も嬉しいボーナス。

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)