もっと映画が観たくなる

瀬戸川猛資『夢想の研究』(東京創元社、1999年)★★★★

推理小説SF小説、それらに関わる映画作品の評論集。

まず、とにかく映画についての綿密な読みに驚かされる。たとえば、「ロジャー・ラビット」を単なる実写とアニメの融合作品と捉えるのではなく、「ミステリ映画」と解釈したり(「からくり兎」)、老子の影響の道筋を映画作品の中に見出す(「東の風」「地球をめぐる風」)。ミステリ書籍の案内は少ないが、どれも読んでみたくなるような紹介で、楽しい。『夜明けの睡魔』も面白く読んだが、取り上げられた映画を観たくなる本書もおススメ。『睡魔』より『夢想』の方が読み易く感じた。