燃えるような、赤。

イーデン・フィルポッツ赤毛のレドメイン家【新訳版】』(創元社、2019年)★★★

乱歩が絶賛し、彼の『緑衣の鬼』の元になったといわれる1冊。

探偵役が入れ替わるのは、乱歩の『孤島の鬼』でもあるが、これも『赤毛』を元ネタにしているのだろうか?(『孤島の鬼』は『赤毛』の後に連載開始)

マーク・ブレンドンが人妻ジェニーに一目ぼれすることから物語は始まる。ジェニーの叔父ロバート・レドメインがジェニーの夫マイケルを殺して逃亡したと思える事件が発生。その後、ベンディゴー、アルバートも死んでいく。ロバートは兄弟にを手にかける殺人鬼なのか。ブレンドンの捜査が行き詰まる中、ピーター・ギャンズ の登場で事態は急展開する。

乱歩が絶賛するのは、当時の推理小説の水準でのことであって、現在でそれが当てはまるかは疑問かもしれない。乱歩が存命の間でも、日本人著者の作品は、『赤毛』を凌駕するものが少なくない。あくまで推理小説史の古典として読まれる作品。